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なぜ多くの団体があるのか?
業界が新しいため統一組織がなく、各団体が独自に立ち上がった経緯
遺品整理というサービスは、ここ十数年で急速に広がった比較的新しい業界です。そのため、建設業や医療業界のように歴史ある統一組織が存在せず、業界全体をまとめる基盤がまだ整っていません。そこで、事業者や有志が「健全な業界を作ろう」と独自に団体を立ち上げる流れが自然発生的に起きました。結果として、複数の団体が並立する形となり、消費者からは「どの団体が一番信頼できるのか?」と迷いを生じやすい状況を生んでいます。
「資格認定ビジネス」としての側面
多くの団体が掲げる大きな活動のひとつが「資格認定」です。遺品整理士や生前整理アドバイザーといった資格を発行することで、受講料や登録料が団体の収益源となります。つまり、資格を通じたビジネスモデルが団体存続の基盤となっているのです。資格は一定の知識やスキルの証明にもなりますが、一方で「本当に実務に直結するのか?」という疑問や、「団体ごとに基準がバラバラではないか」という懸念も指摘されています。
業界内での主導権争い
どの団体が業界の標準を作るのかは、大きな課題です。認知度の高い団体が影響力を拡大すれば、業界全体のルールづくりを主導する立場になれます。そのため、各団体は自らの資格制度や倫理規定をアピールし、行政やメディアへの発信を強めています。これは業界発展に向けた競争でもありますが、同時に消費者からすると「団体ごとに言っていることが違う」と混乱を招く原因にもなっています。
地域性や理念の違い
さらに、団体ごとに理念や活動の重点が異なる点も、団体が増えた理由のひとつです。例えば「生前整理」に特化して高齢者の生活支援に注力する団体もあれば、「適正処理」を重視し不法投棄防止を徹底する団体もあります。また、地方ごとに立ち上がった組織もあり、地域密着型で活動するケースも見られます。こうした理念や地域性の違いが、結果として団体の乱立につながっているのです。
主な団体の特徴と違い
日本遺品整理協会
遺品整理士認定協会
生前・遺品整理事業協会
遺品整理適正化推進協会
全国遺品整理業協会
遺品整理サポートセンター
MAO遺品整理協会
家財整理相談窓口
このように整理すると、それぞれの団体が持つ「強み」や「役割の違い」が見えてきます。消費者にとっては「どの団体に加盟しているか」よりも、「依頼する業者が実際にどんな許可を持ち、どの団体の基準に沿って活動しているか」を確認することが重要といえるでしょう。