
遺品整理やゴミ屋敷で避けられない「臭い」の問題
遺品整理やゴミ屋敷の片付けに直面すると、多くの人がまず感じるのが「強烈な臭い」です。片付けや清掃と聞くと「物を処分すること」ばかりに目が向きがちですが、実際の現場ではそれ以上に臭気への対応が大きな課題となります。長年放置された生活ごみや食品の腐敗臭、湿気によるカビの臭い、ペットの排泄物やたばこの臭気などが混じり合い、部屋全体にしみついていることが少なくありません。
特に孤独死が発生した住居では体液や血液が床や壁に染み込み、通常の掃除や市販の消臭剤では対応できないレベルの臭気が広がります。こうした状況では、遺品整理と同時に「消臭作業」が欠かせません。臭いが残っていると再入居は難しく、残された家族や関係者に大きな心理的負担を与えてしまうからです。そこで今回は、遺品整理やゴミ屋敷清掃の現場で実際に行われている「消臭の基本」と「プロが用いる技術」について詳しく解説します。片付けを検討している方や業者依頼を考えている方にとって、安心できる判断材料となるはずです。
遺品整理・ゴミ屋敷清掃で発生する臭いの原因
腐敗臭(食品や生活ごみの放置)
遺品整理やゴミ屋敷清掃で最も多く見られる臭いが、食品や生活ごみの放置による腐敗臭です。食べ残しや賞味期限切れの食材、調味料などが長期間放置されると、強烈な悪臭を発生させます。特に夏場は腐敗の進行が早く、部屋中に臭気が充満し、近隣へも影響を及ぼすことがあります。一般的な消臭スプレーでは対応できず、徹底的なゴミ撤去と消毒、換気を行う必要があります。
食品や生活ごみの放置は強烈な腐敗臭の原因。撤去と消毒、換気が不可欠。
体液・血液などによる臭気(孤独死現場など)
孤独死現場の遺品整理や特殊清掃では、体液や血液が残されたまま腐敗し、強烈な臭気を発します。床や畳、壁紙に染み込んだ成分は簡単には除去できず、時間の経過とともに臭いが建物全体に広がります。さらに細菌の繁殖により衛生面のリスクも高まります。こうした臭気は家庭用の清掃や消臭剤では対応できず、専門の業者による特殊薬剤の使用やオゾン脱臭といった高度な処理が必要です。
孤独死現場の体液・血液臭は家庭で対応不可能。専門業者の処理が必須。
カビや湿気による臭い
ゴミ屋敷や長期間換気されていない住居では、カビや湿気が原因の臭いも深刻です。食品や布団、木材にカビが発生すると独特のカビ臭が広がり、健康被害の原因にもなります。湿気の多い環境では臭気が壁紙や床材に染み込み、通常の清掃では完全に除去できません。遺品整理やゴミ屋敷清掃では、除湿やカビ除去を併せて行う必要があり、再発防止のための施工(防カビコーティングなど)も有効です。
カビや湿気の臭いは建材に染み込む。除湿・防カビ処理で再発防止が必要。
ペット臭やたばこ臭の蓄積
長年にわたりペットを飼っていた住居や喫煙習慣があった部屋では、ペット臭やたばこ臭が深く染みついています。ペットの排泄物による臭いはカーペットや畳に吸収され、たばこのヤニ臭は壁紙や天井にこびりつきます。これらの臭いは放置すると強烈になり、通常の掃除では落ちません。遺品整理やゴミ屋敷消臭の現場では、壁紙や床材の張り替えといったリフォーム作業が必要になる場合もあります。
ペット臭・たばこ臭は建材に染みつく。張り替えや専門的な消臭作業が効果的。