
終活が遺族を救ったケース
エンディングノートが道しるべに(60代女性・娘)
母が亡くなった後、遺品の中からエンディングノートが見つかりました。銀行や保険の情報はもちろん、形見分けの希望も書いてあり、何をどう片づけたらいいかがすぐに分かりました。アルバムには「これは処分していいよ」と書かれた付箋まで貼ってあり、涙が出ました。悲しみの中でも、迷いなく動けたのは母のおかげです。
「とにかくモノが多すぎて…」(50代男性・長男)
父の家を片づけたとき、物置から古い電化製品や工具、買いだめされた生活用品が山のように出てきました。本人が整理していなかったため、何が重要なのか分からず、何度も実家に通う羽目に。費用も予想以上にかかり、弟とも意見が合わず、心身ともに疲れ切りました。「準備って本当に大事なんだ」と痛感しました。
思い出の品を安心して受け取れた(40代女性・義理の娘)
義母が亡くなったあと、形見分けのリストが残されていました。「この指輪は長男のお嫁さんに」「この着物は次女へ」と書かれていて、争うこともなく、自然と受け継ぐことができました。「ちゃんと考えてくれていたんだな」と感謝の気持ちでいっぱいになりました。義母の人柄がにじむ、あたたかな終活でした。
デジタル遺品の放置で手間と出費(30代男性・次男)
亡くなった兄のスマホとパソコンにはロックがかかっており、SNSの削除もできず、ネットバンクの解約にもかなり苦労しました。結局、弁護士に依頼して費用もかかりました。たったひとつ、パスワードのメモがあれば防げたと思います。デジタルの終活は、まだまだ見落とされがちですが、本当に重要です。
家族全員で生前整理をした思い出(70代男性・本人談)
数年前、妻と一緒に生前整理を始め、家族も手伝ってくれました。アルバムや手紙を見返しながら、思い出話に花が咲き、笑顔の時間になりました。今は必要なものだけに囲まれて暮らしていて、とても心地よいです。「自分が死んだ後、家族が困らないように」と始めたことが、かえって家族の絆を深めるきっかけになりました。
おわりに:人生のしまい方を自分で選ぶということ
「終活」と聞くと、どこか寂しく、暗い印象を持つかもしれません。でも本来の終活は、“死ぬ準備”ではなく、“これまでを振り返り、これからをどう生きるか”を考える、前向きな行動です。自分の人生に納得しながら整理をしていくことで、「しまい方」もまた自分らしく選ぶことができます。
そしてもうひとつ大切なのが、家族のためにできること。遺された人が、悲しみのなかで途方に暮れないように。片づけや手続きで右往左往しないように。少しだけ未来に手を伸ばして、準備しておくことは、深い優しさのかたちです。
自分の想いを残し、家族から「ありがとう」と言ってもらえる終活。それは決して大げさなことではなく、日々の小さな選択や、ひとことの言葉から始められます。
生きている今だからこそできることを、今のうちに。自分自身も家族も、安心して笑顔でいられる未来のために、終活という選択をしてみませんか。
- 自宅にある「使っていないもの」をひとつ手放してみる
- エンディングノートを1ページだけ書いてみる
- 家族に「自分の希望」をひとつ話してみる
- 写真や通帳の保管場所をまとめる
- スマホのパスワード管理を整理する
終活・生前整理についてよくある質問
- 終活って、何歳くらいから始めるのが理想ですか?
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明確な「適齢」はありませんが、60代〜70代で始める方が多いです。とはいえ、40代・50代でも「元気なうちに準備しておきたい」という人が増えています。重要なのは「思い立ったときが始めどき」ということです。
- 終活を始めるにあたって、最初にやるべきことは何ですか?
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手軽に始められるのは「モノの整理」と「エンディングノート」です。使っていない物を少しずつ手放したり、ノートに希望を書いたりするだけでも立派な第一歩です。無理せず、できることから少しずつ進めましょう。
- デジタル遺品の整理って、どうすればいいですか?
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スマホやパソコンのパスワード、SNSやネットバンクのIDなどをメモ帳やエンディングノートに書き残すのが基本です。セキュリティには注意し、信頼できる家族に保管方法を伝えておくことも大切です。
- 遺品整理を業者に頼むと、どれくらい費用がかかりますか?
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部屋の広さや物の量によりますが、1Kで5〜10万円程度、1軒家では20万円以上かかることもあります。事前に複数の業者から見積もりを取り、サービス内容をよく確認しましょう。
- エンディングノートと遺言書の違いは何ですか?
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エンディングノートは自分の希望や気持ちを自由に書き残すものですが、法的効力はありません。一方、遺言書は相続や財産分与に関する「法的に有効な文書」です。用途に応じて使い分けることが大切です。
- 家族にどう切り出せばいいか迷っています…
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かしこまらず、テレビの話題や身近な出来事をきっかけに軽く話すのがおすすめです。「ちょっと思っただけなんだけど…」という自然なトーンなら、家族も受け入れやすくなります。
- 終活って一人でやるもの?家族と一緒にやるべき?
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基本的には自分自身のことなので、一人で進める部分も多いですが、できれば家族と一緒に話し合いながら進めるのが理想です。「思い」を共有することで、家族との絆が深まり、いざというときのトラブルも防げます。
- 終活に必要な道具やグッズってありますか?
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特別な道具は必要ありませんが、エンディングノート(市販品や無料テンプレート)、保管用のファイル、名義変更や解約手続きのチェックリストなどがあると便利です。100円ショップで揃うものでも十分です。