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孤立死と孤独死の違い

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孤独と孤立の基本的な違い

孤独と孤立の基本的な違い

孤独=主観的概念

「孤独」とは、本人が感じる精神的な状態を指します。たとえ周囲に人がいても、心のつながりを実感できず「自分はひとりだ」と感じるとき、人は孤独に陥ります。つまり孤独は、状況そのものではなく主観的な感情です。寂しさや虚しさといった心理的な側面を強調するため、社会的背景よりも個人の内面に焦点が当てられます。

孤独は本人が「ひとり」と感じる主観的な感情であり、心理的な寂しさに重点が置かれる。

孤立=客観的概念

「孤立」は、社会や他者とのつながりが乏しい状況を客観的に示す言葉です。地域や家庭との接点が薄れ、助けを得られない環境に置かれている状態を指します。本人が孤独を感じていなくても、他者とのネットワークが機能していない場合は「孤立」となります。孤独に比べ、外部から確認できる社会的な現象としてとらえられるのが特徴です。

孤立は社会的つながりの欠如を示す客観的状況で、本人の感情に依存しない。

法律における位置づけ

「孤独・孤立対策推進法」では、孤独と孤立を分けて定義せず、両者を包括的に扱っています。孤独は主観的、孤立は客観的という違いはあるものの、現実には両者が重なり合うことが多いため、法律上は「孤独・孤立の状態」とひとまとめにして支援対象としています。個人の感情面と社会的状況の双方を視野に入れ、総合的な施策を進める仕組みです。

法律では孤独と孤立を区別せず包括的に扱い、双方を支援対象としている。

「孤立死」「孤独死」行政・学術における定義

行政や学術の分野では、感覚的に響きやすい「孤独死」よりも、社会的な状況を客観的にとらえられる「孤立死」という言葉が重視されています。厚生労働省は2008年に「人の尊厳を傷つけるような悲惨な孤立死」という表現を示し、死後に長期間発見されないケースを問題視しました。また、2010年の内閣府「高齢社会白書」でも「誰にも看取られることなく息を引き取り、その後相当期間放置される孤立死(孤独死)」と定義されています。これらは単に一人で亡くなることではなく、社会からの断絶が死の悲惨さを増幅させるという視点に立ったものです。

さらに、学術的な整理として「概念的定義」と「操作的定義」が区別されます。概念的定義は包括的な意味づけであり、孤立死を「社会との関わりを失った結果、看取られずに亡くなり、死後長期間放置される死」と大きく捉えるものです。一方で操作的定義は、現実の調査や統計で扱えるよう基準を設けるもので、死亡場所(一人暮らしの住宅や集合住宅など)、世帯類型(一人暮らしかどうか)、自殺を含むか否か、死後の経過時間(何日以上放置されたか)といった要素が検討されます。こうした定義の整理により、孤立死を社会的課題として把握し、政策的対応を進めるための枠組みが形づくられているのです。

行政や学術は「孤立死」を用い、社会からの断絶を背景とした死を定義しています。厚労省や内閣府は死後の放置期間を重視し、学術的には概念的定義と操作的定義を組み合わせ、調査や政策立案に役立てています。

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この記事を書いた人

2000年から活動しているフリーランスのウェブ屋です。2000年台の早い時期から遺品整理業者、特殊清掃業者のウェブサイト制作をいくつも手掛けてきました。そんな経験から遺品整理や特殊清掃の業界になつわる様々な話題を記事にしています。遺品整理に悩まれている方の助けになればとサイトを運営しています。

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